ガンゾーニ式計算機

ガンゾーニ式は、鉄欠乏性貧血を是正するために必要な総鉄剤投与量を計算するために用いられる。患者の体重、現在のヘモグロビン値、目標ヘモグロビン値、および体鉄貯蔵量を考慮する。

歴史的背景

1974年に導入されたガンゾーニ式は、貧血治療のための鉄剤静脈内投与の適切な投与量を決定するために臨床現場で広く用いられている。この式は、患者の個別ニーズを考慮することで、過少治療と過剰治療の両方を回避するのに役立つ。

計算式

総鉄剤投与量を計算する式は以下の通りである。

\[ \text{総鉄剤投与量 (mg)} = (\text{目標Hb (g/dL)} - \text{現在のHb (g/dL)}) \times \text{体重 (kg)} \times 2.4 + \text{鉄貯蔵量 (mg)} \]

計算例

体重70kg、現在のヘモグロビン値8g/dL、目標ヘモグロビン値12g/dL、鉄貯蔵量500mgの患者であれば、計算は以下のようになる。

\[ \text{鉄欠乏量} = (12 - 8) \times 70 \times 2.4 = 672 \text{ mg} \]

\[ \text{総鉄剤投与量} = 672 + 500 = 1172 \text{ mg} \]

重要性と使用場面

ガンゾーニ式は、鉄療法を調整し、鉄欠乏性貧血の有効かつ安全な治療を確保するために、臨床医にとって不可欠である。

よくある質問

1. 鉄貯蔵量とは何か？

   • 鉄貯蔵量とは、体内に蓄えられた鉄の量を指し、通常は式において500mgとされるが、患者の状態によって異なる場合がある。

2. 正確な鉄剤投与量を計算することが重要なのはなぜか？

   • 正確な投与量により、鉄過剰による合併症や、投与不足による治療効果不十分を予防できる。

3. ガンゾーニ式は全ての患者に使用できるか？

   • 広く適用可能であるが、慢性腎臓病患者など、調整が必要となる患者集団では注意して使用すべきである。